史上最大級の暴落！BTCが10万ドルの大台をかろうじて守る中、なぜアルトコイン市場は壊滅的な暴落に見舞われたのか？

作者： Chloe， ChainCatcher

 

10月11日未明、暗号資産市場は急落に見舞われ、その根本的な原因は米国大統領Trumpの突発的な関税政策にある可能性がある。前夜、TrumpはTruth Socialにて中国が「複数国に書簡を送り、すべてのレアアース関連元素の輸出規制を計画している」と非難し、米国株式市場の取引終了後に、11月1日から中国からの輸入品に100%の新たな関税を課すと発表した。

このニュースはウォール街に直接的な衝撃を与えた。10日の米国株式市場は一時上昇後に急落し、ダウ工業株30種平均は一時283ポイント上昇した後、887ポイント下落した。ナスダック指数は一時3.56%以上下落し、恐怖指数（VIX）は4月以来初めて20を突破し、市場のプレッシャーが急増したことを示している。

株式市場のパニック感情はすぐに暗号資産市場にも波及した。bitcoinは今朝一時102Kまで急落し、執筆時点では111K付近に戻り、価格は10月1日の水準に戻った。ethereumは一時3,392ドルまで下落し、執筆時点では3,745ドルとなっている。暗号資産市場全体の時価総額は約10%下落し、特にアルトコインの下落が激しく、アルトコインシーズン指数CMCは35まで下落した。

Coinglassのデータによると、過去24時間で全ネットワークの清算額は191.41億ドルに達し、再び過去最高を更新した。世界中で1,621,284人が清算され、そのうちロングポジションの清算額は166.86億ドル、ショートポジションの清算額は24.55億ドルだった。最大の単一清算はHyperliquidプラットフォームのETH-USDT契約取引ペアで発生し、価値は2.03億ドルだった。

コイン別では、bitcoinが53.17億ドル、ethereumが43.78億ドル、SOLが19.95億ドル、HYPEが8.88億ドル、XRPが6.99億ドルの清算となった。

暗号資産市場が未明の暴落を経た後、現在の主要CEX、DEXの資金調達率は、市場が明確に弱気に転じたことを示している。

アルトコイン暴落の裏にあるのはマーケットメイカーの資金難か？

暗号KOL @octopusyccは、アルトコインの暴落は完全にマーケットメイカーの問題であり、十分にヘッジ（Hedge）できなかった典型的なケースだと分析している。

核心的な問題はマーケットメイカーの資金が限られていることにある。マーケットメイカーは資金を段階的に異なるプロジェクトに投入し、Tier0プロジェクトに最も多くの資金を割り当て、Tier4プロジェクトには最も少ない支援しか与えない。Jumpの崩壊後、市場構造はバランスを失い、元々Jumpがサービスしていた多くのプロジェクトが他のマーケットメイカーに流れたが、これらのマーケットメイカーの資金はすべてのプロジェクトの需要を満たすには到底足りなかった。

Trumpが関税政策を発表し市場が売りに傾いた際、資金が逼迫している中でマーケットメイカーはTier0やTier1などの大型プロジェクトを優先的に保護するしかなく、小規模プロジェクトに割り当てていた資金を大型プロジェクトの救済に回すことも辞さなかった。このリソース再配分の結果、小規模なアルトコインプロジェクトが完全に支えを失う主因となった。

マクロ的な引き金やマーケットメイカーの資金難以外にも、複数の業界関係者が今回の歴史的な暴落の直接的な技術的原因は、Binanceプラットフォーム上でのUSDeのペッグ外れによる連鎖的な清算だと分析している。

Primitive Ventures共同創業者DoveyはX上で、今回の暴落はある大手機関（クロスマージンを利用する伝統的な取引会社の可能性あり）がBinanceで清算されたことが原因だと推測している。Doveyは「さらなる分析が必要だが、初見ではUSDeのBinanceでの価格が一時0.6まで下落し、他の取引プラットフォームでは価格が比較的安定していた」と指摘した。

さらに、Binanceに上場しているトークンと未上場のトークンの間でボラティリティの大きな乖離が発生している。これはUSDeがBinanceで最大40%もペッグを外れたことを意味し、問題は市場全体ではなくBinanceに集中している可能性がある。

暗号KOLの憨巴龙王は、「（今回の暴落は）USDeの12%補助金により、多くの市場ユーザーがUSDeのループローンを行い、Trumpの貿易戦争の影響でUSDeがプレミアム攻撃を受け、USDeループローンが清算され、USDeがさらに下落した」と述べている。

彼はさらに致命的な連鎖反応を指摘した。「加えて、一部のクジラやマーケットメイカーがUSDeを契約の証拠金として使用していたため、USDeのペッグ外れによるディスカウントの影響でレバレッジが異常に倍増し、最終的には1倍のロングポジションでも清算されることになった。（これがさらなる連鎖反応を引き起こし、）小規模アルトコイン契約の価格が急落し、USDeも急落、さらには倍の下落となり、最終的にマーケットメイカーが大きな損失を被った。」

暗号KOLのBitHappyは、「今回のオンチェーン清算は取引所よりも優れていた、特にレンディングの面で。これは主にEthena、AAVEなどのプロトコル設計によるもので、TVLを拡大するためにループローンを奨励し、借入資産と担保資産の価値を1:1に固定している」と述べている。彼は例を挙げて説明した。「例えば、以前Aave上でのUSDTとUSDeのループローンは、固定オラクルを採用していたため清算リスクがなく、当時の補助金活動も加わり、わずか数日で数十億ドルのTVLを押し上げた。この仕組みにより、ほぼすべてのステーブルコインがレンディングプロトコルのオラクルで1:1に固定された。そのため、今回オンチェーンでステーブルコインのループローンを行ったほとんどのユーザーは基本的に無事だった。」

しかしBinanceの状況は全く異なる。「USDeの清算損失が最も深刻だったのはBinanceだった。一方で、BinanceはUSDeの12%利息キャンペーンを展開し、多くのクジラがループローンに参加した（結果的にほぼ全滅）。他方で、USDeは契約の証拠金としても利用できた。」

またBinanceは正式に発表し、USDE、BNSOL、WBETHの3つのトークンで最近価格のペッグ外れが発生し、一部ユーザーの資産が強制清算されたことを確認した。Binanceチームは、現在影響を受けたユーザーの状況と関連する補償措置を全面的に調査しており、同様の事件の再発防止のためリスク管理を強化していると述べた。

今後の展望：TACO取引は再び起こるのか？

最後にマクロ経済に戻ると、Trumpの突発的な発言は今回が初めてではない。最初は4月に中国への関税を145%に引き上げた際も市場は暴落したが、最終的に米国政府の態度が硬直し、その後中国への関税実施は無期限延期となり、市場は再び堅調に上昇した。

多くの投資家はこのTrumpに「操られる」市場の動きをTACO取引と呼び、Trumpが関税政策を発表した瞬間にショート（市場感情が急速に反応）、数取引日後に再びロング（Trumpが態度を軟化させ、政策を撤回）するというものだ。

投資家がタイミングを見極めて底値を拾えれば好機となるかもしれないが、現在は米中情勢が再び悪化の兆しを見せており、加えて米国政府のシャットダウンももう一つのリスク要因となっている。ホワイトハウス行政管理予算局（OMB）は10日、連邦職員の削減を開始したと発表した。

ホワイトハウスの関係者は、今回の連邦レベルの人員削減は少なくとも数千人に及ぶと述べ、連邦政府のシャットダウンにはいまだ光明が見えないため、投資家は情勢が安定するまでポジションを取るのを控え、高度な不確実性の中で盲目的に底値を拾うことを避け、再び急落リスクに直面しないようにすべきだとアドバイスしている。