仮想通貨ネイティブの組織ではなく、ウォールストリートの大手金融機関がイーサリアム（ETH）の上場投資信託（ETF）承認を最も強く求めている。こう主張するのは、サイファー・キャピタルのビル・チェン会長だ。同氏はバイナンス・ラボの元幹部でもある。

「現在、ETFの承認を推進しているのは仮想通貨ネイティブではなく、ウォールストリートの企業だ」とチェン氏はコインテレグラフのインタビューで語った。「最終的には、機関投資家向けの資産運用会社が主要なロビイストとなる。ETFを立ち上げ、承認を得ることが彼らの最大の利益となる。資産運用額（AUM）の競争において、AUMを増やすためにはETFの承認が必要だ」。

現物型イーサリアムETFを申請している企業にはブラックロック、グレイスケール、フィデリティ、ARK 21シェアーズ、インベスコ・ギャラクシー、ヴァンエック、ハッシュデックス、フランクリン・テンプルトンが名を連ねる。

米証券取引委員会（SEC）は3月20日、ヴァンエックのイーサリアムETF申請に関する決定を5月23日まで 延期した 。また、3月19日にはハッシュデックスとARK21シェアーズのイーサリアムETFに関する決定も 延期した 。両社のETF申請は5月後半が最終期限となっている。

イーサリアムETFの承認は仮想通貨ネイティブにとって歓迎すべき動きだが、チェン氏によると、大手発行者はETF関連の手数料を生み出すことで大きな利益を期待できる。「ETFの管理手数料を生み出すためにこれを実現させたいのは、ウォールストリートの企業だ」。

グレイスケールのビットコインETFは最大1.5%の手数料があり、ブラックロックとフィデリティが0.25%、21シェアーズが0.21%の手数料となっている。

現物型ビットコインETFの承認前に、複数の申請者は顧客の管理手数料を引き下げるため、S-1提出書類を何度も更新した。10のETF発行者の中で、ビットワイズが最低の手数料を提供し、最初の6ヶ月間は手数料ゼロ、運用資産が10億ドルに達した後は0.20%の手数料としている。

チェン氏の予想では、資産運用額が数兆ドルに上る世界最大の資産運用会社ブラックロックの需要により、今年中に現物型イーサリアムETFが「非常に高い確率」で承認されるという。

ビル・チェン氏へのインタビュー