ドバイVARA、VASPに対して6月19日までに新ルールブック遵守を通達

ドバイ規制当局が仮想通貨業界への監督を強化

UAEアラブ首長国連邦の VARA （仮想資産規制庁）は、VASP（仮想通貨サービスプロバイダー）に対し、新たな規制ガイドラインへの準拠を命じた。

期限は2025年6月19日までに設定されており、市場の健全性向上とリスク監視強化を目的とする取り組みの一環として実施される。VARAは5月19日、活動ベースの ルールブック 最新版「バージョン2.0」を 発表 。新たな規制枠組みでは、仮想通貨市場における一貫したルール適用と、業務ごとのリスク管理体制の整備が進められている。

新ルールは、アドバイザリー、ブローカー・ディーラー、カストディ、取引所、貸借、資産運用、送金・決済、発行業務の8分野に対応。対象業務ごとに強化された規制が導入され、特に証拠金取引におけるレバレッジ制限や担保要件の明確化が図られている。

トークン配布サービスに関する新たな規制では、発行ライセンスの取得条件や投資家保護措置、マーケティングに関する基準が定められた。「小売向けオファー」に関しては、未経験の投資家を高リスク商品から守るための保護策も強化されている。

また、複数のサービスを展開するVASPにおいて、リスク管理や開示義務の整合性を保つための対応も盛り込まれた。担保ウォレットの取り決めを明文化し、サービス間の規制矛盾を排除することが目的だ。

規制導入の影響とVARAのスタンス

今回のルール改定にあたり、VARAは影響を受けるすべてのVASPに対し30日間の移行期間を設けており、この期間中は、VARAの規制チームがライセンスを持つ事業体と直接連携し、各業務における遵守を支援する体制が整えられている。

VARAの法務顧問であり、規制対応責任者のルーベン・ボンバルディ（Ruben Bombardi）氏は、「イノベーションとコンプライアンスの両立は、私たちが一貫して追求してきた原則です。今回の改訂は、責任あるスケーラブルなエコシステムの基盤を強化するものです」と述べ、規制強化が技術革新を妨げるものではないと強調した。

また、今年2月には、VARAが仮想通貨クジラの身元開示を義務付ける計画を公表し、VASPに対して主要トークン保有者の現実世界の身元情報の報告を求めるなど、透明性とトレーサビリティの向上にも取り組んでいる。

VARAは今後もルールブックの定期的なアップデートを予定しており、VASPには制度改正への迅速かつ柔軟な対応が求められる。