トランプ大統領、仮想通貨推進を掲げてトラビス・ヒル氏をFDIC議長代行を正式に指名

トランプ大統領がトラビス・ヒル氏をFDIC議長代行を正式に指名

米国のドナルド・トランプ（Donald Trump）大統領は、 FDIC （Federal Deposit Insurance Corporation：連邦預金保険公社）のトラビス・ヒル（Travis Hill）暫定議長の指名を 上院に提出 した。

大統領は、FDICの議長代行であるヒル氏を、5年間の任期で政府の役割を担うため、上院に指名。仮想通貨およびブロックチェーン事業に取り組む銀行政策を提唱してきた同氏への指名は、 SEC （米国証券取引委員会）が来月の規制策定計画を発表する中で行われた。同氏は、大統領が今年（2025年）1月20日に就任して以降、FDICの議長代行を務めており、その後、仮想通貨関連の活動に関するガイダンスを公表し、銀行業務の停止（デバンキング）疑惑を批判してきた。

これらの規制は、仮想通貨規制の抜本的な見直しや、ウォール街が過度に煩雑だと非難してきた規則の削減につながる可能性がある。SECは、7月にポール・アトキンス委員長が予告していた仮想通貨政策の見直しに向けた複数の取り組みを正式に概説。これらの取り組みには、デジタル資産の募集・販売に関する規則の提案や、ブローカー・ディーラー規則の仮想通貨への適用方法の明確化などが含まれる。

トラビス・ヒルのこれまでの略歴

議会記録によると、大統領による同氏のFDIC委員長指名は2025年9月30日（火曜日）に上院銀行委員会に提出された。

同氏は当初、トランプ大統領の最初の任期中、当時のFDIC委員長ジェレナ・マクウィリアムズ（Jelena McWilliams）氏の上級顧問を務めていた人物で、FDICの職務に就く前、同氏は、FDICはデジタル資産とトークン化に関する追加的なガイダンスを提供すべきだと述べていた。

また、アトキンス委員長は米国当局が仮想通貨との関連性を理由に企業を銀行から排除しているという疑惑にも反論。3月には金融機関に向けた書簡の中で、銀行はデジタル資産を「許容される活動」として扱うことができると明確にした。これに対してヒル氏は次のように述べている。

これは、FDICが安全性と健全性基準に従って銀行が仮想通貨およびブロックチェーン関連活動に従事するための新たなアプローチを示すために講じる複数の措置の一つになるだろうと予想している。

審議は米国政府機関閉鎖解除後に開催か

一方、SECは、米国内の証券取引所および代替取引システムにおける仮想通貨の取引を許可するよう規則を改正することを検討していると示唆。

これらの政策が施行されれば、仮想通貨が伝統的な金融システムとより密接に連携できるよう、長年にわたり適切な規則を求めてきたデジタル資産業界にとって大きな勝利となるだろう。

トランプ大統領は、ヒル氏を含め、米国の仮想通貨政策を左右する可能性のある複数の指名を発表しているが、主要金融規制当局の重要ポストは依然として空席のままである。現在、議会が予算法案を可決できなかったため、米国政府機関は現在閉鎖状態にあり、上院銀行委員会がヒル氏の指名を審議するための公聴会をいつ開催するかは不明だ。