執筆：David，深潮 TechFlow
12月10日夜時点で、あなたが気づいていないかもしれないのは、LUNAトークンの契約データが非常に異常であることです。
技術的なアップグレードも、エコシステムの好材料もない状況で、LUNAシリーズの契約（LUNAおよびLUNA2を含む）の全市場における24時間の取引高は合計で18億米ドルに近づいています。
そしてLUNA自体も直近1週間で150%上昇しました。
比較として、LUNAおよびLUNA2の取引量を合わせると、現在市場全体の契約取引量でトップ10に入るほどで、HYPEの18.8億米ドルに次ぐ規模です。
そして両者の資金調達率はそれぞれ-0.0595%と-0.0789%です。
高いマイナス資金調達率は、市場が現在混雑しているだけでなく、極端な意見の対立状態にあることを意味します。大量の資金がショートしている一方で、さらに大きな資金がこの混雑を利用してショートスクイーズを仕掛けています。
誰もが知っている通り、LUNAにはもはやファンダメンタルズはありません。この18億ドルの流動性は、実際にはまもなく結果が出る賭けを取引しているのです：
明日、つまり12月11日24時、かつての「ステーブルコインの王」Do Kwonがニューヨーク南地区連邦地方裁判所1305号法廷で最終量刑審問を迎えます。
市場は現金で、この前バージョンの暗号業界の大物の刑期に賭けています。
刑期は長くも短くもなり得る、投機は休まない
この18億ドルの契約取引量を理解するには、この事件の現在の進展状況を見る必要があります。
多くの人にとって、Do Kwonという名前は2022年のあの壮絶な崩壊の後、すでに視界から消えていました。
しかし実際には、この元暗号大富豪は2024年末にはすでに米国ニューヨークに引き渡されていました。そして今年8月、彼はマンハッタン連邦裁判所で正式に有罪を認め、証券詐欺など複数の罪状を認めました。
明日の審問は、「有罪か無罪か」の議論ではなく、刑期の長さについての最終決定です。最新の裁判資料によると、検察と弁護側の量刑提案には大きな隔たりがあります：
検察側は12年の禁錮を主張。
米国検察官事務所は強硬な態度を示しており、その理由はTerra崩壊による数十億ドルの損失と、崩壊前のChai決済アプリの「偽装オンチェーン」に関する詐欺行為です。
市場の見方では、12年は完全な終焉を意味します。暗号の4年サイクルで考えれば、3回転してもDo Kwonとは無関係になります。
弁護側は5年の禁錮を申請。
弁護チームは「同情」を訴え、Do Kwonはモンテネグロですでに長期間拘束されており、認罪態度も良好で、SECの罰金執行にも協力したと強調しています。
7年の差は、実際にはLUNAトークンをめぐる日中の投機と資金の駆け引きには十分な材料です。
通常の論理では、創業者が重刑を受ければLUNAトークンはさらにゼロに近づくはずです。そのため市場にはショートポジションが溢れ、マイナス資金調達率が見られます；
しかし主力資金、つまり大口投資家は、Do Kwonが本当に5年の軽刑になると信じる必要はなく、この判決の不確実性を利用して価格を逆に引き上げ、過度に混雑したショート勢を狙い撃ちするだけです。
これが、なぜLUNAがDo Kwonの判決前夜に急騰したのかの説明にもなるでしょう。市場は正義を祝っているのではなく、判決自体に投機しているのです。
もともと暗号市場には目立った話題もなく全体的に低迷していましたが、明日の審問は数少ない局所的なボラティリティを生み出しました。
被害者から捕食者へ
目が覚めたら、今は2022年です。
もし2022年5月にLUNAの保有分布図を開いたら、さらに悲惨な光景が見られたでしょう：
そこには全財産を失った韓国の個人投資家、甚大な損害を受けた暗号ファンド、そして底値を狙って埋もれた投機家たちがひしめいていました。当時の取引は、怒り、絶望、そして非合理的な自己救済に満ちていました。
3年後の今日、市場のミクロ構造は完全に入れ替わっています。
当時の被害者たちはすでに損切りして市場を去りました。今、テーブルの向かいに座っているのは、まったく異なる参加者かもしれません。例えば高頻度クオンツチーム、イベントドリブン型ヘッジファンド（Event-Driven Funds）、そして「ジャンク資産」を専門に狩る投機家たちです。
この新しいプレイヤーたちにとって、Do Kwonが無実かどうか、Terraエコシステムに未来があるかどうかは、重要どころかノイズでしかありません。彼らが唯一気にする指標はイベントベータ（Event Beta）、つまり資産価格が特定の法的ニュースにどれだけ敏感かです。
このような状況下で、LUNAの資産属性はすでに法的イベントを巡るデリバティブチケットに変質しています。ちょうど一部のMemeコインの値動きが、ある有名人の一挙手一投足に左右されるのと同じです。
これは暗号市場の極めて冷酷な成熟の一形態であり、死や投獄ですら「マネタイズ」できるのです。
現在のLUNAや多くの殻だけのトークン取引は、本質的に災害の価格付けです。主力資金はファンダメンタルズがゼロであることをよく理解しています。しかし意見の対立が存在し、ロングとショートの駆け引きの余地がある限り、この「空っぽの殻」は完璧な取引対象となります。
むしろ、ファンダメンタルズのアンカーがなくなったからこそ、トークン価格の変動はもはや制約されず、完全に感情の発散に依存するようになったとも言えます。
まさにその通りで、暗号市場の大半のトークンは実際にはmemeなのです。
すべてに値付けを
明日の判決後、Do Kwonが「5年」でも「12年」でも、LUNAという取引対象にとっては、結果は結局同じかもしれません。
イベントが終われば、トークンは再びほとんど値動きがなくなる可能性が高いです。悪いニュースだけが相場を殺すのではなく、確定した良いニュースもまた同じです。
もし重刑なら、論理はファンダメンタルズに戻り、価格はゼロへ。もし軽刑なら、好材料出尽くしでSell the News、利益確定売りが一気に押し寄せます。
正直に言えば、LUNAは非常に良い観察鏡です。
それはかつてアルゴリズムステーブルコインの技術的ストーリーを映し出し、またこの市場の極度に成熟し、冷酷な一面も映し出しました。
今の暗号市場では、たとえ死んだコインとすでに有罪を認めた創業者であっても、少しでもニュースバリューがあれば、高効率で再びギャンブルのチップに仕立て上げられます。
暗号市場の流動性効率は極限まで進化しており、あらゆるものに値付けできます：感情、バグ、ミーム...もちろん一人の自由や正義の裁きも含まれます。
この極端な効率の前では、道徳的判断はやや余計に感じられます。
Do Kwonのこれからの人生は刑務所で悲しく過ごすかもしれませんが、暗号市場には悲しみはなく、まだ値付けされていないボラティリティだけが存在します。
